Q & A

石灰とは、一般的には、生石灰及び消石灰の総称です。
農業・園芸分野ではタンカルやカルシウム分も含めて、総称として石灰と言う場合があります。

生石灰 タンカル

石灰石は、炭酸カルシウム(CaCO3)を主成分とした鉱石で、岩石としては石灰岩と言います。

太古の昔、海中で、珊瑚や貝殻、骨格を持った生物等の屍骸が堆積して石化し、海洋プレートの移動により、大陸プレートまで運ばれたものと言われています。
資源の少ない日本においては、自給率の非常に高い鉱物資源です。

当社では、粒度によって、石灰石(粒度の大きいもの)とタンカル(粒度の小さいもの及び粉末)に区分けして取り扱っています。

海中の珊瑚や貝殻 石灰石

石灰石

当社では、石灰石を生石灰およびタンカルの原料として使用しています。またセメントの主原料として、セメント工場に出荷しています。

粒度の大きいものは骨材として、生コンやコンクリート二次製品、アスファルト合材などに使用されています。

粒度の小さいものは飼料の原料に使用されています。牛や豚のカルシウム補給源として、また採卵鶏の卵殻用カルシウム源として利用されています。

粉末は舗装用、工業用、排脱・中和用、飼料用、運動場などでのスポーツ用ライン引き用等、幅広く使用されています。

また、炭酸カルシウムは、食品添加物であり、カルシウムの補填・強化として、チューインガムの基礎剤の一部として、各種食品の改質・固着防止の目的で利用されています。

石灰石骨材

石灰石骨材

粉末タンカル

粉末タンカル

チューインガム

生石灰(きせっかい)は、酸化カルシウム(CaO)の慣用名で、「せいせっかい」とも呼ばれます。
生石灰は一般に、石灰石を加熱し、二酸化炭素を脱離(脱炭酸)させることにより製造します。
  CaCO3 → CaO + CO2

生石灰に水を加えることによって、発熱し、消石灰となります。この反応を消化反応と言います。
  CaO + H2O → Ca(OH)2

生石灰は水と反応して、可燃物が発火する程の熱を発生するので、保管・取り扱いは注意が必要です。また、500kg以上の取り扱い・保管の際には事前に消防署への届出を必要とします。

水と反応する際には、強烈な発熱とともに強アルカリ性を呈します。突沸し、飛散する生石灰/消石灰による火傷や薬傷の危険があります。取り扱いの際には、マスク、手袋、保護眼鏡等の着用が必要です。

石灰焼成の炉内

石灰焼成の炉内で石灰石を脱炭酸し生石灰を製造します。

製鉄の分野では、シリコン(Si )、硫黄(S)、燐(P)等の不純物を除去する目的で生石灰が利用されています。

土木分野では、水分の多い土に混合することにより、水分を除去(蒸発、吸収)し、脆弱な地盤を強くすることができます。

水分と反応する性質を利用して乾燥剤に用いられています。特殊な例として、消化反応の際の発熱を利用した加温剤(弁当や缶入り清酒等)として使用されています。

土質安定処理

土質安定処理の施工のようす

消石灰(しょうせっかい)は、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の慣用名です。
一般的には、生石灰に水を加えて製造します。
  CaO + H2O → Ca(OH)2

消石灰の粉末が飛散し、眼や口に入った場合、強アルカリ性による薬傷の危険があります。
皮膚に付着した場合も同様です。取り扱いの際には、マスク、手袋、保護眼鏡等の着用が必要です。

消石灰

消石灰

上下水処理、廃水処理、排ガス処理、一般工業原料、漂白剤、建材、肥料等、幅広い分野で使用されています。鳥インフルエンザの消毒用に消石灰が散布されたのは記憶に新しいですね。

ゴミ焼却場から排出される排ガス中には塩化水素(HCl)や硫黄酸化物(SOX)等の酸性成分が含まれています。消石灰はこれらの酸性成分の中和除去を目的として使用されています。

また、消石灰は、食品添加物であり、こんにゃくの凝固、砂糖精製の際の不純物除去等に使用されています。

排ガス酸性成分の中和除去 こんにゃくの凝固

生コンクリートやアスファルト合材を作るのに必要な砂利(砕石)や砂(砕砂)等のことを骨材と言います。骨材の中で5mm以上の大きさのものを粗骨材、5mm以下の大きさのものを細骨材と呼んでいます。

※アスファルト合材
アスファルト混合物またはアスファルトコンクリートとも呼ばれています。アスファルトと骨材、フィラーを加熱混合したもので、道路舗装に用いられます。

※フィラー
75µm篩を通過する鉱物質微粉末のことで、通常、石灰岩や火成岩を粉末にした石粉、高炉スラグ微粉末等があります。フィラーには、アスファルトの見かけの粘度を高め,骨材として混合物の空隙を充填する働きがあります。

粗骨材

粗骨材

粗骨材

粗骨材

細骨材

細骨材

生コンクリート、アスファルト合材ともに、骨材が重要な材料として使われています。生コンクリートは、セメント、骨材、水、薬品(混和剤)を練り混ぜて作ります。アスファルト合材は、アスファルト、骨材、フィラーを加熱混合して作ります。

生コンとアスファルト合材のつくられ方

骨材は天然に採れるものと人工的に作り出すものに大きく分かれ、天然骨材、人工骨材と呼ばれています。

天然骨材には、粗骨材であれば川砂利、細骨材であれば川砂、海砂、山砂があります。
しかし、天然資源の枯渇や、骨材採取の規制強化などによって、その使用量は減少傾向にあります。

人工骨材には、大きな岩石を砕いて造る砕石(粗骨材)や砕砂(細骨材)があります。

骨材に使われる岩石には主に砂岩や石灰岩があり、他に安山岩や玄武岩等も骨材に使われます。

天然骨材

当社の骨材には、石灰石骨材と砕石骨材があります。
石灰石骨材は、生コンクリート、コンクリート二次製品用にご使用頂いています。
砕石骨材はアスファルト合材、生コンクリート、コンクリート二次製品にご使用頂いています。
当社の骨材は、次のように分類されています。

当社の骨材

アルカリ骨材反応を生じにくく、乾燥収縮や自己収縮が小さいことから、コンクリートのひび割れの抑制につながります。

※アルカリ骨材反応
コンクリートに含まれるアルカリ性の水溶液と骨材中の反応性鉱物によって生じる化学反応をアルカリ骨材反応と言います。アルカリ骨材反応を生じると、反応生成物の生成やその吸水に伴う膨張あるいは収縮によってコンクリートがひび割れを起こしたり、劣化したりする原因となります。

※乾燥収縮
コンクリートが乾燥した際に、内部に存在する余分な水分が蒸発などでなくなることにより収縮する現象を乾燥収縮と言います。

※自己収縮
セメントの硬化の際に、体積が減少する現象を自己収縮と言います。

コンクリート

コンクリートに骨材を混合するメリットとして次が上げられます。

(a)セメントは水と反応して固まっていく過程(水和反応)で発熱します。内部の発熱している高温部分と外気に接触している低温部分との温度差でひび割れを生じる場合があります。骨材を入れセメントの使用量を減らすことで温度上昇を抑え、ひび割れを抑制します。

(b)セメントの自己収縮や乾燥収縮によってひび割れが起きる場合があり、収縮の少ない骨材を加えることでひび割れを抑制します。

(c)コンクリートを構成するものの中では、一般にセメントが最も高価です。安価な骨材を混ぜることによって、セメントの割合を下げ、製造や施工のコストを抑えることができます。

アスファルトに骨材を混合することで路面が守られます。

バス、トラックなどの車両が道路を走る時、その荷重を路面が受けています。アスファルトだけでの舗装を行った場合、その荷重を支えることができず、路面は傷んで(窪んで)しまいます。このため骨材が必要となります。骨材同士を接着、結びつけることを担うのがアスファルトで、荷重を受けるのが骨材です。

セメント
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